芸術の秋だよ!①〜完全自己満足応援鑑賞〜
暇なときにInstagram、Pinterest、Tumblrなどで、とくにアートを閲覧するのが好きです。
Vimeoのアニメとかも楽しい。
(もしおすすめのサービスやアカウントがあったら教えてください)
今のご時世はお金がなくて引きこもってても、画面をスクロールして保存するなりスクショするだけで自分の好きなコレクションができる。
良い時代ですね。
しかし便利すぎるサービスはいつの間にか膨大なアーティストを抱え始め、収集がつかなくなって来てまいりました。
私のアカウントも同じ!
整理するの苦手なんですけど、多分そろそろやらないと手遅れになるので実験的にこのブログで試みることにします。
ただまとめてもつまらないのと、思い入れの強い作品を紹介する方法として、応援鑑賞という手法を取りました。
映画の応援上映の絵画バージョンです。
これは三日前に思いついた割には我ながら素晴らしいコンセプトだと思っています。
映画館、展覧会、美術館、劇場って、少なくとも日本では大抵の場合「喋ってはいけない場」になってるじゃないですか。
中でももっとも曖昧なポジションにある映画館に関しては、心なしか海外の方が面白いときは笑うとか、どんでん返しの場面で「マジかよ(息を呑む)」みたいなリアクションがよく聞こえる気がします。
応援上映ではないけどより自然に感情が出せる。
そっちの方が個人的には楽しめるし、自分自身が感情を無意識に表に出しやすいので気を使わないで済むというか。
「他のお客様のご迷惑になる」という口実を使って注意しなくても、ある程度のマナーはみんなわきまえつつ楽しむみたいな。
これは多少、美術館にもあっていいんじゃないかと思う。
音付きのインスターレーションとか子ども向けの展示じゃなくても、一つの絵を目の前にして一緒に行く人と喋りながら見るというのはなかなか面白いものがあります。
映画と異なり文字やセリフを含まない絵画こそ、敢えて小さく横にある解説を読まず自分なりの解釈を展開する余地があるんではないでしょうか。
ちょうど一年くらい前、満を期して『怖い絵』展に美術好きの親戚のおばさんと行ったときの話。
上野で有名な展覧会ということもあって、激混みだった。
中野京子先生の著作は中学のときから大体網羅して3回くらい読み返してるのと伊達に学部で歴史専攻だったわけじゃないので、ほとんどの絵の主題と解説が私の頭に入っていました。
だから私より背が低くて、混雑したなかで人を掻き分けるのに苦戦していたおばさんに全部解説してました。
そしたら密集したなかで近くにいた人に舌打ちされ、黙れみたいなことを言われた。
狭い、狭いよ!狭いのは会場じゃなくてあんたの心だよ!!!!
こちとら雑談してるわけでもなし、あなたの手元にある数百円払って使ってるオーディオガイドなしで親戚孝行しようとしているというのに!
文系苦学生の数少ない使い道を阻まないでくれ〜
あと美術館が嫌いな人の視点に立ってみても、「アートそのものが嫌い・興味がない」というよりも「異様に冷房を効かせている」や、「人混みが嫌い」「緊張感がある雰囲気なので疲れる」など、満員電車の話ですか?というような、アートと関係ない意見も目立ちます。
これももったいない。
何度ブログで取り上げようと思ったことか!未だ畏れ多い。絵画の解釈の正しさなんてのはなく、楽しんだもんがち。しかもよりスリリングな形で...!この人の解説と観点ならアート以外でも何でも楽しく読めそう。日本人の苦手な聖書トピックから、大人気の血みどろヨーロッパ王家、ギリシア神話、古典ものなど幅広く網羅。
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・・・という経験などがあったあとで、オランダに来てコレクションの素晴らしさに対し空いている美術館に驚き、喋っても写真を撮っても床に座っても怒られないことに感動しました。
真珠の耳飾りの少女も超近くで見れるし、ゴッホのジャポニズム展も3周したし、バベルの塔なんか日本から帰って来たのを出迎えました。
トルコの博物館も庭に石柱は横倒しされてるわ、猫は自由自在に出入りするわで無法地帯だった。
全体的にゆったりしてるから小声で話す程度なら誰も咎めないし、子どもが走り回ってても全然余裕。
より作品と人間がインタラクティブであるなぁと思いました。
それは飾られるのみで、自ら言葉を発する術を持たない作品にとっても良いことなんじゃないかと思います。
そしてワタクシの永遠の憧れでもある、アンドレ・ブルトン的なことをやってみたかった。
「私の好きな作品群はシュルレアリスムとします!(バーン!)」→本になる流れとか、最高じゃないですか。
自分の好きなもの群を系統付けて新しい名前をつけるって意外と大変そうだけど...
でも多分いわゆるアートの〇〇派なんてだいたい後付け的だし、後世のオタクたちによって名付けられたものでしょ。
澁澤龍彦も大絶賛のキュレーション力。確かこの本で『聖アントニウスの誘惑』(多分表紙?)というキリスト教版百鬼夜行・魑魅魍魎な賑やかでドストライクな主題を知った。ウンベルト・エーコも芸術集大成的なことをしたけど、守備範囲の広いブルトンの方が個人的には好み。こういう本は青山ブックセンターが強い。
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あと最近遠方の友達と電話してて気が付いた。
好きなものや人を褒めるのめっちゃ楽しい。
「頑張って」とかじゃない、そのまま十分頑張ってるから!あなたは!!!
Facebookのいいね(ハートその他もあるけど)で終わっちゃもったいない。
電話で話すように具体的に褒めちぎりたい。
スクロールしてボタンを押すだけなら、回転寿司で流れてくる皿を「美味しそ〜」と思うのと同じ。
自分で選択し、手を伸ばし、皿を取り、実際に咀嚼しなければ。
そこで初めて、単なる情報の集合体だと思っていたものが意味を持ってくるのではないかな。
これは情報過多・飽和社会でいちいち実行するのは不可能に近く、だからこそ「いいね」が開発されたと思うんですけど、ほんとにこれは記事にしろ何にしろに対し、自分の思いを数値化できているのだろうか。
というか、単なる数値化で終わっていいのかというね。
好きなものくらい、自分の言葉で表現したい。
直感的に好きというのも超大事な感情だけど、それもいっぱしの説明になりますからね。
...というわけで今回は私の好きなアート作品を、ブログ上ではありますが激励したいと思います。
応援上映ならぬ応援鑑賞?熟語の前半と後半の相性の悪さハンパないけど。
長ったらしい解説はなく、単に好きなものの好きな部分を褒めるという完全に自己満足な仕上がり。
絵画という表現の自由に鑑賞者の表現の自由を重ねた、タブルチーズバーガーです。
(これからこういうわけのわからない比喩がたくさん出て来ます)
作品間の流れは意識したけど、順不同!!!
文字だけなのに私のうるささを知っている人はすごくうるさく感じるかも。
スタート!
現在の私の好みを大まかに言うと「色をたくさん使ってるのに統一感がある」作品が好きです。
この嗜好に気が付いたのは、やはりオランダの誇るピエト・モンドリアン先輩のおかげかも。
いわゆる完全体の赤黄青黒白になるちょい前の作品が好き。
印象派の影響を受けつつ、自分の味を出そうとしている...
\\\\取り込まれたい////
形もかわいすぎ....
ほんのりくぼみが赤くて、赤血球みたい。
絶対に何か受け止めてくれる形ではある。
ツモリチサトの可愛さの破壊力の高い色合いもここら辺から来ているのではないか。
かわいいのに毒がある、きれいなものには棘がある!
アメルスフォールトのモンドリアン美術館は小さいながらも粒ぞろいでしたよ。
モンドリアンがカラフル→モノトーン・三原色に行ったなら、その逆はオディロン・ルドンかな。
\\\\空は青だけじゃない////
初期の人面花とか人面蜘蛛とかもティム・バートンぽくて好きだけど、この時期の開放感のある作風には敵わない。
タイトルにアポロンて入ってるのに、馬のテンション高すぎて全然頭に入ってこないし。
一番好きなのはキュクロプスの絵だけど、エピソードが悲しいから載せない(詳細は前述『怖い絵』参照)
下の部分が黒いのは奈落の底かもしれないけど、イカロスじゃないので落ちても死なないっしょ。
色はビビッドになるけど、動物の生き生きした感じはフランツ・マルクが最高だと思っています。
\\\\ていうか動物どこ////
このレベルになると、動物を生命の輝きレベルで見ることができるんでしょうか。
共感覚的な...?
描写にしたって、オノマトペ以外で説明できなくない?
目のやり場にも困るな〜縦横無尽で、どこから始めればいいのか。
私はまだまだ馬のお尻(?)くらいしか見えません。
まだ原型をとどめている動物のシリーズもあって、なかでもネコ科が可愛くっておすすめ。
ここらへんから幾何学模様が多くなってきます。
そしたらパウル・クレーだ。
\\\\いつか夜の仄かな闇から現れ出て////
テンションが上がりすぎてタイトルを叫んでしまいました。
この作品は神保町の古本屋街で運命的な出会いをしたんです。
原始的であり神秘的、複雑な色使いの中での統一感、といった言葉では表しきれない。
初めて色鉛筆を買ってもらった子どもの遊び心の結果にも見える。
四角を組み合わせて色を塗るだけで、こんなに表現の幅があるものなのか。
このパッチワーク的な作品と関連してバウハウス・テキスタイルという可愛くて悶えるシリーズもあるよ!
興味のある方は調べてみてね。
クレーの相方はヴァシリー・カンディンスキーかな?
\\\\万華鏡と顕微鏡のマリアージュ////
まっさらな空を見上げるときに、誰しもプランクトンみたいなのが見えるじゃないですか。
それがなんなのかはよくわからないけど、多分カンディンスキーが空を見上げたときに彼の目にはこう映ったんではないかと思う。
太陽でチカチカしてるのも相まって、微生物っぽいのがカラフルに見えたのかも。
そんな目の不純物をゴミと捉えずアートに消化する目の付け所がさすが...!
他の作品はその音楽性のせいか結構圧倒されてしまうものが多いんだけど、これは親しみやすかったのでポストカードを購入しました。
ミカヅキモとかミジンコとか懐かしい。
サイズ大きめにマーク・ロスコ!一番のお気に入りかも。
\\\\邪道にして王道////
まず何よりも、エネルギーがすごい。
これだけ有無を言わせない自信の満ち方を見せつけられると、たじろいでしまう。
でも絶対そこからもらえるエネルギーはマイナスじゃない。
方向的に丸く包み込むというより、前から受け止めて後ろから押されるので、多分同じ絵を自分を挟んで両側に置いたら体内の磁場が狂う。
大好きで大好きで何度も見ているけど、いつか実物を見て日光浴ならぬ絵画浴がしたい〜
このアーティストはイカす美術教授に教わりました。
うーん、さすがにロスコ相手はちょっと疲れてきた。
波動パネぇって!
箸休めにはならないけど、気分転換にはなるかな、ロイ・リヒテンシュタイン。
\\\\貫きたいからこそはみ出す////
ただのアメコミ完コピおじさんかと思ってたらそんなもんじゃなかった。
これも偶然出会った作品。
見えるね、一度完全体を崩してみたくなる衝動がね!
でもそれは明確なゴールあってこそ。
タイトルのimperfectも納得で、否定形の接頭辞も元からある単語に付け足すもの(im)で、必ずしも不完全→完全ではなく、完全→不完全という流れもありなんじゃないか。
相互補完ですね。
やばい。ここまで抽象的な絵を相手にしてると文体が占い師みたいになってくる。
Moco Museumの展示、最高でした。
次はポール・スミスよりおしゃれだと私の中で話題沸騰中のブリジット・ライリー。
\\\\水面か森林か夕焼けかどこにいるの〜////
美しい自然を目の前にして、一体化する錯覚は誰しも経験があって、きっとこれはその視覚化したのかな。
クレーもそうだけど、こういう絵ってどこから書き始めて、何色から塗るんだろう。
斜めな四角形がゆったりした流れを作ってるけど、この色使いで落ち着き方は反則でしょ〜
エル・グレコくらいグイグイ三原色押されると引いちゃうんだけど、この人やデ・ステイル作品の引き際の良さというかなんというか。
今気がついたけど、両側に置いている色が暗めなので真ん中が浮かび上がるように明るく見えるぞ!
最後に、この方をもちましてを一度総まとめとさせていただきたい。
\\\\全自動博物館おじさん////
まさかのインスタグラムからこんにちは。
正直一番好きな作品群はこれじゃないんだけど、その中でも全体の代表な気がした。
(架空沈没船を引き上げたベネツィアのシリーズが一番好き)
この狂気じみるほど整然とした色を並びといったら。
作品"群"というのも、彼の作品が多岐に渡るなかで必ずグループ化できるから。
そしてグループ間をつなぐキーワードが「コレクション」だと思う。
当たり前かもしれないけど、グループ内とグループ同士の作品群を全体像として見たとき、矛盾なく創作するというのはとても難しい。
何よりも作品量がとてつもないし。。。
コレクターと作家が一つの人間に存在することって有り得るんですねぇ。
<まとめ>
ダミアン・ハーストのコレクション/制作の仕方と、紹介してきた絵たちの「色々な色を使用するのに違和感がない」というのは似たようなものじゃないか。
これも人間の欲深さというか、自然にある色(もの)に名前をつけることで支配し、敢えて並べたり混ぜたりもしてみたい。
そうやって出来上がった作品は一目では違和感を感じるものの、おそらく誰しもが心の奥底では持っている欲望を具現化したものなので、見ているとなんとなく落ち着くのかな。
征服欲が満たされるというか。
それが色を研究し尽くした一流のアーティストによるものなら尚更なのかも。
そもそも「何かを描く・表象する」というのも、始まりは対象物に対して完全に一方的な行為だと思っている。
古代ギリシアの彫刻家のなかで「一から彫る(=作る)のではなく、もとから石のなかにある像を彫り出すのだ」みたいなこと言ってる人もいたけど。
難しい!難しいよ〜!
でも一方的に作り上げて出来上がった作品が、これまた一方的に発信するよりは鑑賞者と何らかの形で話せたほうが楽しいんじゃないかな。
すでにこの世にいない作者にとってはファンとの唯一のコミュニケーションツールであるし。
考古学もモノに対する再解釈が可能であり続けるから面白いのであって。
以上は厳選した作品で、もちろん今回だけで紹介しきれなかった作品がまだまだあるのと、次は絵画だけなく建築・写真・イラストなども入れられればと思います。
日本の現代のイラストレーターはたくさん好きな人がいるんだけど、もう少し古いと全然知らないな〜
私の知る限り日本芸術で紹介したなかで上の作品群に似てるの、田中一光くらいか。
浮世絵にインスパイアされてる西洋美術は大好物だけども。
以下は次回の参考文献です。
タッシェンさまさま〜!
もちろん表紙はロスコ。
あと理論を深めたいので、余力があればゲーテの色彩論でも読むかな。
ゲーテほど全て事象に対するオタクもいないかも。
人生が足りたのか不安。
他分野の専門同士で話しててこの人に行き着くことが多い。
そうそう、きっかけは忘れたし何が何だかわからないけど気になってるシュタイナー
日本のアートブック出版社の中でイチオシのパイ・インターナショナルも新刊で良い本出してるんだこれがまた。
デザイナーのためじゃなくて、鑑賞者にもヒントになることが多そう。
前にも紹介したかもしれないけど、色を研究することは認知科学と文化人類学、言語学など幅広いです。
これは2017年の激おすすめ本。
それでは、また!