ノス滾(たぎ)ルジー、あるいは80年代時代設定クライムドラマ(ACS/AHS/WWK)
まぁ、まず私はバリバリの平成生まれのピチピチの20代ということなので、生まれてもいなかった80年代を懐かしむというのはちゃんちゃらおかしい話なのですが、今風の言葉を使うとしたらエモくないっすか?80年代。
エモいという単語は敢えて使ってはみましたが、本当はあんまり好きではなくて、なんだろう、またあの「新しい単語が生まれることによって従来の多様な表現が集約される」言語の生き物としての自然淘汰的性質以前に、字と意味と音がちぐはぐな気がします。
「エモい」という字面と発音が、エモくないんですよ。
そう考えると「エロい」ってすごいな、カタカナでもひらがなでもえろいし、音もエッッッッロ!!!!
同じ外来語の『接頭辞(emo/ero)+い』で構成も同じはずで、なんなら一字違いでしかないのにこの違いはなんなんだろう。
そういうこというと令和キッズに年寄り扱いされそうなので、エモいの悪口はここまで!
正直に告白しますと書いている今は11月22日で、世間ではいい夫婦の日だのno nuts Novemberだのイベント盛りだくさんで、ハロウィンとクリスマスの間にも休ませてもらえない11月、しかも後半なんですね!
(書いてしまったので短めに日英の11月のイベントの捉え方の違いに触れておきますと、日本語では11月を11の並びから「いい〇〇」として記念日化しますが、英語ではNovemberからNoを連想し、月全体で「何かをしない」方向に持っていってます。Novemberって呼び名的には日本語に匹敵するのは霜月だよな、とかまた考え始めちゃう)
まぁでもはてなブログのいいところは公開日を過去に設定できる...だから10月31日公開ということにして月一更新という体裁は保たれる...やったァ〜〜〜〜!
自己満足とはいえ何かを形式的にでも継続するというのは、こういう#時空歪みハックが必要となってきますね。(ハッシュタグであなたのハックもシェアしよう!)
話を戻して、80年代はやっぱりエモくないかな。
大義のエモいという意味において、エモくないんですね。(因数分解しま〜す!)
80年代って「良い過去」ランキング1位だと思うのですが(下位は知らん)、傍観者が「フ〜ン、そんなこともあったな、良かったな〜」って思うじゃないんです。個人的には。
おそらくその感情が現代っ子の言うエモさで、主体/客体の構成でいったら"傍観者"といって、受動的にしておきながら過去を過去たらしめているのは他でもない彼らなんだよな。
英語でいうと"clystalize the past"という感じでしょうか、いや、よくわかんない、今思いついたわ、うん、でも結晶化/固形化することで過去を現在から切り離すみたいなニュアンスが伝われば^^
一方、私が80年代に抱く思いはもっと参加型というか、80年代に巻き込まれていくイメージ。
80年代が巻き込んでいく。
80年代が主体なんです。
で、この巻き込まれているうちに体の内側から湧き上がってくる何かがあるっていうか...
80年代に接すると滾る、血湧き肉躍るというのが私の80年代に対するスタンスです。
だからタイトルにあるように「エモい」とは別に「ノス滾(たぎ)ルジー」にしちゃった。
絶対広まんね〜wwwwww
まあいいとして、この考えの元になったのはおそらく80年代のに青春時代を過ごした両親をはじめとする周りの大人たちの影響が多い、しかも幼少期からの、というのはあるんでしょうが、記事を書きたいと思わせてくれたのは最近見たドラマたちなんです〜
まずはVERSACE (American Crime Series 2)という、Netflixで見つけたドラマ。
これはね〜〜〜、以降紹介する他のドラマにも共通するのですが、色使いがすごい。
タイトルにある通りベルサーチ、言わずと知れた大御所ブランド(私の最初の出会いは嶽本野ばら先生の『下妻物語』です笑)のデザイナー、まあベルサーチ、そのまんまかよ、が殺されたんです。
その殺人に至るまでの経緯を主に犯人視点で描いています。
けどそんなことどうだっていいッ!
俺が欲しいのは、カルフォニアの太陽の下に燦然と輝くプール付きの大豪邸が、奇しくもそのオーナの血によって染められる、ギリシア悲劇的情景なんだよッ!
ちなみにベルサーチはイタリア発。
うん。
劇中に出てくる時代考証を重ねに重ねあげた衣装やドレスそのものも最アンド高なんですが、それらの血の色との相性の良さったらない。
全体的には鈍く光るメタリックカラーがまとめ上げているのですが、陽気でゲイな(本来の"明るい"とセクシュアリティのダブルミーニングで)パステルがあったり、派手派手なパーティのネオンがあったりと、こんなに色々なで異なった性質の色たちが調和するものなんだろうか....
ヴェス・アンダーソンを始めとした画面全体の色にこだわりが強い監督というのは多くいますが、このドラマのすごいところはあくまで当時の時代や状況に即しているところ。
カラーランとかいって一時期ゆとり世代が走りながら色を撒き散らしたりしてましたが、そんなもんじゃねぇから、こっちはリアル・色のトマト祭りだから。
しかもそれでいてカオスじゃない。
目に入れても痛くない!(イナバの「百人乗っても大丈夫」的な)
と私の中の色ヲタ興奮冷めやらぬ中、構成も素晴らしいので触れておくと、犯人は連続殺人鬼であり、大本命のベルサーチを殺す前に恋人だったり、パトロンのおじさまだったりと、殺し歩いているわけで、でもそれが時系列で描かれおらず、むしろ最後に起こったベルサーチの殺人から逆算していく。
だから正直ストーリーを追いにくいところはあります。
でもその構成もことごとく犯人目線で考えた結果なのかな、というか、「まずゴールありき」というか....
あとは俳優ですが、私の一押しはベルサーチの妹であり現在もご活躍中のドナテラ役のペネロペ・クルス先輩ですかね...(『それでも恋するバルセロナ』最高だよね〜)
英語のイタリア訛りのアクセント(ペネロペご本人はスペイン出身)から、どギツいアイライン、そして最愛の兄/デザイナーとしての大先輩を亡くした妹としての役柄まで、彼女がやっぱり、生き証人なんですよね。
でもそんな一番の被害者としての彼女を物語の中心とさせない、「崇拝するデザイナーを殺す」ことを最高の崇拝の形とする猟奇殺人鬼が圧倒的です。
このドラマが今この現代に作られたことの大きな意味として、やはりセクシュアルマイノリティーの方々のため、というのが一番大きいかもしれません。
トレンドという意味合いではなく、やっとだね、という意味で。
作中の加害者・被害者たち両者がゲイであり、何よりもベルサーチというブランドや本人そのものが彼らにとってのエンパワーメントであり、当時のマジョリティからの偏見が事件捜査を遅らせた、といったようなことも見えてきます。
もちろんそれは本当に現代社会にとっても当時に大事なんですが、私個人としては、まとまったお休みが取れて、もしおうちに大きなハイビジョンのスクリーンがあったら、バスローブと赤ワイン片手に色の洪水に溺れてほしいな...と。
そういう風に見てほしいドラマです。
まずは字幕とかも外して、ストーリー展開も感覚だけで追いかけるものとして、バスローブから出てる皮膚や感覚器官の全てで画面の色から発せられるエネルギーを感じてほしい。
没入感ともまた違うんだよな、絶対自分の身には起こり得ないことなんだけど、なんか目から入った極彩色が、その色にしか刺激されない脳細胞を刺激するんですね。
そういった意味で鑑賞体験の内在化が早い、もう考えないうちに体に浸透するわけです。
私は決してドラッグの話をしているわけではないです。
サントラも最高で、私なぜか今年の夏にバイトでよそのお家の草むしりしてたんですけど、聴きながらだとベルサーチ邸の召使いっぽくて無駄に捗りました。
メデューサのモザイクが散りばめられているプールとかはなかったけど。
あ、親しみやすい比較対象としては蜷川実花の作品を3Dプリンターで印刷したものを触っている手が映像を見ている感じです、スマホの小さい画面で見てるのに...!?ヘルタースケルター!!!
個人的にはオルダス・ハクスリーとかにも見せて感想聞きたい。
私は隣で「今、あの質感"感じ"ました!?」とか耳元で叫ぶ。
次は、友達から教えてもらって見始めたWhy Women Killですね、これもイイ!
これは大まかにいうと60年代・80年代・現代に渡って同じ屋敷で起こった別々の殺人事件、しかもタイトルの通り女性が殺す側、についてのドラマです。
リヒテンシュタインぽい絵柄で、早速殺しまくってるオープニングもいい。
先述のベルサーチと同じで、犯人はもうタイトルと最初の数エピソードでわかっているわけです。
女性の主人公、妻役の人たちがどう考えても男、しかも夫を殺すんだな、と。
ある程度予測がつく。
笑っちゃうくらいこの夫勢がどうしようもないので、(ここ漢字「去勢」ではないです)まあ殺されて当然だよね、となるわけですが、でもその経緯や方法は千差万別で、もちろん時代背景も影響していて...
構成としてはそれぞれの時代を同じエピソード内で入り混じりつつ描いていくわけなのですが、なにせ同じ家で起こっていることなので、風景が被るとことかがあって、そこを合えて被せるようにしていて、場面の切り替えなどがいいです、とてもいい。
でもやっぱりこのブログでは滾り80年代のお話をしているので、ルーシー・リュー先輩が妻役を演じる80年代のパートが全体を通して私はお気に入り!
チャーリーズ・エンジェル、キル・ビルと、若い頃もやんちゃさで名を馳せていたバリバリのザ・元祖Badass Bitchな先輩ですが、現在もお年を感じさせないほど。
若ければいいという意味ではもちろんなく、かといって年齢に合った役を演じているからいいというわけでもなく、オーラですね、オーラ。
見た目やファッションもバリバリ現役なのですが、私は特に話し方に惹かれました。
小さい頃に見ていた映画の中では、もちろん日本語吹き替えであったりして彼女の声というのを意識してなかったのですが、アートコレクターで上流階級の、といってもやはり80年代ですから、それでもなんつうかな、とりあえずプライドの高い女性、たまんね〜!
早口で、切り返しも早くて、たまに裏返るのがグッド....
そういう99ツンツンな人がたまに1、ツンになるときがね...(ツン対デレではなくツンツン対ツン)
ただでさえ少ない読者がほぼ皆無のブログで、そしておそらく日本でも放映しない海外ドラマについて日本語で書いているということは、実際にこのドラマを見る人がこの記事に巡り会う確率は、チャン・ツィー、ファン・ビンビン、コン・リーが実は人間の皮を被った美しすぎる地球外生命体でない可能性(=限りなくゼロ)とほぼ等しいので、ネタバレしますと、彼女の旦那さんはゲイで浮気していたと。
当時のセクシュアルマイノリティ蔑視の酷さを差し引いても、バレた時の夫の開き直り方とか最悪なんですけど彼女はそれでも、今までとは違う形でパートナーとして向き合うことを選びます。
それで当てつけとして親友の息子(年の差20歳以上)とかと関係を持ったり、それでその親友に殺されかけたり、はちゃめちゃなんですけど、それでも夫婦二人がお互いにぶつかり、向き合うという事実は揺るぎないんですよね。
その関係の模索の描き方としては、グザヴィエ・ドランの『わたしはロランス』とかとも似てるかな〜あれも色使い最高なんだよなぁ〜〜〜
でもさっき言った通り、プライドが高いって大事だなと。
譲らないところを「譲らない」と言い合えることって、譲らない自分を相手に明け渡すという意味では譲っているんだよなァ...
もう衣装とかはすごいですよ、肩パッドの形とかアイシャドウの色とか「なぜ?」っていうくらいなぜ??????なんですが、絶妙にまとめ上げられてます...
やはり異なる三つの時代を、ドラマで鑑賞者に一発伝えるためには言葉じゃなくて画面全体の色使いやファッションが効果的なんですよね。
あ、ここで時代が切り替わったな、と。
切り替わってはいるけど、1エピソードやドラマ全体としては1つのものとして成り立たせなきゃいけないので、そこの匙加減もイイな〜〜!
タイトルからして「やっぱ女って怖えな〜www」と外野がうるさそうですが、敢えてそういう突っ込みやすさを提供してやってんだよ、といったさらに高次の、本当の”怖さ”があることが物語全体にちりばめられておりますのでね、玉がある人は玉ヒュンならぬ魂ヒュンも楽しんでほしいですね。
最後はAmrican Horror Stories 1984 (AHS 1984と訳されることが多いね)ですね、これはですね、もう推しから入ったドラマなんですけど、その推しというのは外でもない、
コーディ・ファーン様で〜〜〜〜す!!!!(カタカナ表記、歯が浮いちゃったので以下Cody様て言わせてください)
AHSはシリーズもので、こちらは9個目ということで、でも他のシリーズは特に見たことありませんでした。
一回Netflixで見たの、フリークショーみたいなシーズンで、いくら画面上に血がほしい時でもなんかソリが合わなかったので1エピソードでやめたかな..
え〜、この #私の橋本環奈、もといCody様、すぐ死ぬんですよ、#推しすぐ死にがち
というか先ほど紹介したベルサーチにも出ていたんですよね、結構重要な役で(犯人の元恋人役、もちろん殺される)、でもそのときはもう本当に被害者でしかなくて、影を薄めに設定している役柄だったのですが、こっちでは死ぬといっても死に方もすごいし、なんなら生き返りますから。
ありがてぇ!
あ、引き続きネタバレすみません。(もうあんまり申し訳なく思ってない)
推し最優先で順番が逆になりましたが、全体のお話としては、夏のキャンプ場で起こった大量殺人事件の真相解明プラス被害者の真犯人への仕返しってところか。
なんか、モノホンの悪魔とかも出てきちゃうし、死者は生き返るしでゾンビフェス状態です、やった〜!
キャンプ場だから屋内外で色々豊富なので殺し方も色々あって、でもむしろ全部非現実的すぎて見ていて「イテテテテテテテッ」とはならないですね。
スティーブン・キングが原作とかだったらもっと作品全体の雰囲気が見ていて悲しくて辛いのかもしれないですけど、何しろゾンビフェスですから、YouTubeとかで「死んでみた」とかやりそうなの、みんな死なないから。
マイケル・ジャクソンのスリラーか、そういうことです。
推しはやはり私の中で一番なので、個人的には主役なんですけど、それはさておき最後まで主役がはっきりしないのがこのドラマの特徴です。
でも女優さん方が全体的にいい味を出していますね。
個人的には主役候補が三人いて、三者三様、生死かけて豪快に戦ってます。
でもな〜〜〜〜もうちょっとBadass感ほしいな〜〜〜全体的に。
役柄とかじゃないのよ、殺人とかの行為でもないのよ、圧倒的なオーラがほしい。
滾りポイントとしては、あんまりよく覚えていないけど「80年代は永遠よ」みたいなセリフ。
死してなお(ゾンビ化してなお)、2019年にいる私たちにも「いかに80年代がすげかったか」としての誇りを画面越しに伝えてくるんですね。
ほんとに、ハイレグの下にスパッツ履いてエアロビし続けるんですか、その答えがイエスなんですよね。
まあでもまた先ほどのcrystalizeに戻ると、ゾンビ化ということの意味を考えると、自分たちを特定の時代と場所にcrystalizeしたわけですから、それってすごいことだ。
「あの頃に戻りたい」と「あの頃のままでいたい」って全然違うことじゃないですか?
前者は再スタート的な意味も含みますが、「あの頃に戻って時を止める(≒そこで死ぬ)」にも終わりがあるけど、終わりないんだよ!?それでいいの!?
まあ個人的には何があろうと #推しは永遠なり だけど...
とまぁ、今回は比較的短めだったけど書きたいこと書けてよかったな〜
他にも下書きが三つくらいあるし、言語化したいこと盛りだくさんですけど、どれもタコとか色の記事みたいに大論文化しそうで、精神と身体にバグがきているここ最近の私の手には負えませんでした....
今書いていても消化器官と視界がバグっているので、敢えてケーキを食べて呼び水ならぬ呼びゲロを目論んでるレベル。
カフェで三時間で描き切ったそ"お"〜〜〜〜
ブログ、続けたいから続ける、続けるために続けるというのももちろん一つの大切な目的ではあるし、そこから生まれる何かもあると思うんですが、私の場合は書きたいことありきというのは譲れなかったので...
うまく中間地点が見つかって、よかったね!!!!
病に臥せっているとドラマ見ることくらいしかできないので、でもそのドラマ選びが難しい。
個人的にはちょうどいいのが、今の時代を描いているわけでもなく、私に全く関係なく、それでいて全く興味が湧かないわけでもなく...でもbinge watchingではなく作品としてきちんと見たいものがいい、となると、ノス滾るしかなかったのかな...?
まあでも推しが出てる限りぶっちゃけストーリーとかあんま関係ないよね!!!!
今までの記事では画像とかリンクを入れまくるの好きだったんですけど、カフカが『変身』で毒虫を描くのを許さなかったように、文章だけで見た目を伝えてみたかったので、文中には入れませんでした、っていう三秒前に思いついたかっこいい言い訳は嘘で、画像がないと読み込みやすくてスクロールしやすいのと(この期に及んで一応読者は欲しい)、めんどくさかったから!
でも紹介したドラマたち、素晴らしい作品なので私のレビューというか分析は別としてみてほしいので、以下リンクとか画像貼っておきますね。
・American Crime Story Season 2: The Assassination of Gianni Versace Trailer(予告)
(サムネバージョンでなぜか貼れないのでリンクのみでご愛嬌...)
・『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』嶽本野ばら
・Why Women Kill(予告)
・ルーシー・リュー様 Simone役ビジュアルwww.instagram.com
・"Kill Bill"よりユマ・サーマンとのオフショット(最高かよ)
・AHS 1984 (予告)
・Cody Fern様 史上最強ビジュアル(公式インスタグラムより)
・ハイレグwork out 参考動画 "I have a bad case of diarrhea"
読んでいただきありがとうございます、またね〜