「乳(と塩)の流れる地」
牛乳とその仲間たちが好きだ。
私がもし旧約聖書の添削者だったら
候補「乳と蜜の流れる地」
私「乳だけで十分では?」
と蜜の部分を削ってしまったかもしれない。
今でも一人で一週間に2パックは牛乳を消費するし、食卓では食事のジャンルを問わず飲み物は牛乳一択。
思春期には「風呂上がりの牛乳が冷えていない」というだけで家族に当たり散らしていた。
アルコールを飲むようになってからはビールに変わるかなと思いきや地位をそっくり明け渡すことなく、家でご飯を食べるときは「ビールでいいか」と聞かれても「牛乳ある?」と一応ワンクッション入る。(あることは少ない)
ちなみに一番好きなのはホテルの朝食バイキングで飲む牛乳。
あのホテルでしか使わないような細くて小さなグラスに、氷に浮かべられて程よく冷やされたどっしりとした水差しから牛乳を注ぐ、至福のひととき。
牛乳パックも好きだけれど、決して家では、ましてや牛乳になんて絶対に使われない入れ物、水差し。
"水"差しって、言ってるよね?
蓋がついてない容器はこぼれても害が少ない液体に限る、って何度言ったらわかるのッと牛乳の入った水差しを持つ手が喜びと怒りの狭間で震えてしまう。
BGMは「いいえ」歌詞界で永遠に頂点を君臨するかと思われていた「さそり座の女」を超えたと言われることで有名な「何にでも牛乳を注ぐ女」に決まっている。
チーズも好きだ。
さっきの聖書に話を戻すと「乳と塩」を代替案として提案していたはずだ。
「塩は液体ではないから流れない」という頭の固い人たちによって却下され、泣く泣く蜜が採用されるのだが、三者はのちにゴルゴンゾーラとはちみつという形で相見えることになる。でもそれはまた別の話。
中東ではヨーグルトに塩を入れて飲む文化はあるし今からでも聖書の改定は遅くないかも...
ていうか、気候的に塩分必要じゃない?
甘いもの好きなのは知ってるけど....
さておき、チーズは由緒正しい。
乳製品と発酵食品のサラブレッドなのだから、多少臭かろうがカビが生えていようが関係なく崇められる。
でも、やっぱり賞味期限切れのチーズを「元から腐っているから」という理由で大目に見る人とは相容れない部分がある。
以下はそんな私と乳製品の断片的な思考の寄せ集めである。
もちろん旧約聖書の専門家でもない私が「牛乳が好きすぎる」という理由で改定案を持ち出すというのはおかしな話であり、そんなことを真っ向から試みるつもりはなく、本来の目的は「みんな私がこの歳でも"牛乳が好き"と言うと笑うけど、給食で牛乳を飲まなくなってからもいかに牛乳由来の乳製品が私たちの生活を支えているか」を改めて振り返ってみてもいいんじゃないかと思うのだ。
「ブルーチーズ、タイムマシンでいぶりがっこクリームチーズの存在を知ってからチーズだけで全部再現しようとした」説
というのをブルーチーズを夜中の3時半に舐めながら思いついた。
いぶりがっこクリームチーズ、広辞苑に載るとしたらどんな説明がつくんだろう?
↑
私が考えます!
"野菜由来の発酵食品と牛乳由来の発酵食品を掛け合わせたらどうなるかと思ったら、どうにかなった。"
そういえば昔、恋人がキムチ鍋に成城石井のブルーチーズを入れてまずいと友達と大騒ぎしたことを事後的に話してきたことがあるのだが、なんともいえなかった、私はブルーチーズが大好きだったけれど、そのとき、その話を聞いたあとではなんとなく、ブルーチーズを好きと言ってはいけないような気がした。
というのを思い出して昨日、キムチとブルーチーズをクラッカーにのせて食べたけれど、お互いの酸味と少し痺れる刺激、まろやかさが手を繋ぎあっていてとても美味しかった。
でもそのブルーチーズに後からカビが生えてしまって、取る作業をしながら「私にはカビを選り好みする権利なんてあるんだろうか?」と思ってしまった。
おつまみ三銃士
プロセスチーズ、ジャッキーカルパス、チーズおかき
チーズおかきのチーズとおかきに分解しようとした者は、オレオの場合と同様、死後地獄に堕ちたあと「食べ合わせを司る神」によって体をタンパク質と水分に分解される刑に処されます。
上の写真はすでにチーズ味が含まれたふわふわ系ですが、私が意味するところは分解しやすいブルボンとかのです。↓
https://www.bourbon.co.jp/product/item?category=35&item=2914
「カルボナーラ、生クリームなしで家で作れます!」
だから、なに????????????
"カルボナリ党の反乱" 懐かしい
この「生クリーム」やちゃんとした乳製品を然るべき場所で使わないことと、カロリー減や健康のためだけに豆腐・豆乳で乳製品要素を賄うことの理解に苦しむ。
豆乳側にとっても失礼。
↑アメリカの例のMac&Cheeseに有害物質が入っていることが指摘されたが、「健康のためにそんなもの食ってるわけないだろ」と猛批判。痛々しいほどわかる。
(でも実はMac&Cheeseがマカロニチーズって知ったの、三ヶ月前くらい...マクドナルドのチーズバーガーのすごいやつかと思っていた。)
カマンベール、カチョカバロ、ブラッタ
名前がチーズのテクスチャーをうまく表現している気がする。
ゴルゴンゾーラにはちみつをかけた人は、ポストイットを発明した人より「当初はコテンパンに怒られた失敗」感がある。→大成功
クアトロフォルマッジョは素数ということにして、数学界のルールの全てを無視しても約数なし、ということでお願いします。
四つのチーズが常に腕を組んでいる状態。
クアトロ・フォルマッジョとか、間の点もいらないです。
ヤギとか水牛とか、牛よりくさそうな生き物のチーズはくさくておいしい。
Kiriのクリームチーズと牛のマークのベルキューブ、四角い形でアルミホイルに個包装になっているのだけど、構造上いつも四隅に残ってしまってもったいないと小学生の頃から思っている。
あとBoursin(上写真右下)のアルミホイルの使い方とチーズのテクスチャーの相性、どうにかならんのか?
「ヨーグルトの蓋の裏を舐めるのメチャ行儀悪い」どころじゃないぞ。
↓調べたら全部同じ会社の商品だった...
トルコのkaşar peyniriとかいう、そのままでも食べられるし、溶けるチーズなのに溶けても食感が保たれてむしろよくなっちゃうの、なぜ???
融点が二つあるの???あって、いいの?
「はい、チーズ」が日本だけではないと知った、ハイ、ペイニール〜
サガナキ、スメタナ、カイマック
↑
「留学中この乳製品で体重が増加した!座談会」(旧ソ・オスマン帝国領篇)の常連たち
ヴァンパイヤ退治に有効なのは、本当は地中海「ニンニクとキュウリが入った冷製ヨーグルト(スープ)」のtzatziki(ザジキ)やcacık(ジャジク)(下画像左下)
そもそも日光強すぎて、ヴァンパイヤ、いないか!
<イスケンデルケバブの地層>
バター
肉
パン ヨーグルト
ヨーグルトの出身地はブルガリアでもギリシャでもなく実はトルコ、というのは結構聞きますね、当時の明確な国境線はさておき...
(フムスのチーズ入ってそうな顔して入ってないのにお惣菜ポジとしての強さ)
ピザは平面的なのに、ティラミスやラザニアは断面的、でもどれも切っても切ってもおいしいね
パルミジャーノ・rえっジャーの
↑
変換できない
嘘トリビア
「パウダービーズクッションはモッツァレラの触感を参考にした」
噛むと歯のエナメル質がギシと音を奏で少し鳥肌が立つのが好きだ。
チーズと歯のエナメル質の交流といえば、さけるチーズを割かずにかじってみることをオススメする。
縦ではなく横からかじるので、もちろん3口ぐらいで食べ終わる。
あまりにもあっけない。
今まで爪の間にチーズが挟まってしまうにも関わらず必死に割いてきたというのに。
縦にかじるのもいいのだが、見た目がビーバーに憑依されてしまった人みたいになってしまうし、こんなロングセラー商品の公式な食べ方を無視しているという時点で社会的な立場も危ぶまれるので、人目のつかない場所を選んでいただきたい。
でも顔に対して縦になるようにチーズを配置し、是非かじってみてほしい。
持ち方は人差し指と親指でぶら下げる感じ。
これがすごく難しいのだ。
特に全て噛みちぎらないように、齧った表面が半円を描くようにするのはすごく難しい。
ここでいかに人間:さけるチーズの大きさの比が「五本指を持ち"割く"という行為を持つヒトに特化したもの」であるかが再認識されるのだ。
チーズとよくセットで表されるネズミのためではない。
それにしても、メーカー側から食べ方を指摘してくるというのは考えてみればけっこう大胆なことである。
とけるチーズに関しても同様のことが言える。
でもとけるチーズの方が、ルールを破ってサンドイッチなんかに入れて火を通さず堂々と口に入れいている人をよく見る。
https://www.meg-snow.com/hokkaido100/sakerucheese/
ちなみにさけるチーズは大抵スーパーでは二パックで1組だが、私は誰かと分けようと思ったことが一度もない。
パピコじゃないんだから。
もちろん、一さけを分けてあげることもしない。
それが不思議と、一つのさけるチーズを半分に分けてシェアしたことは何度かある。
ちなみに二パックが各々個包装で1組なのも、パッケージを「割く」行為が本命のチーズに触れる前から体験できる、計算し尽くされた贅沢な構造だと思っている。
だから名前が「さけるチーズ」というのも当然かもしれない。
もはやチーズを食すためではなく「割く」という人間だけに許される行為に焦点が当てられ、開発された商品であろうからだ。
<嘘のようで本当のこと>
「私の母は植物性クリーム(ホイップクリーム)と動物性(生クリーム)の違いがわかるし、バターを食べるためにトーストを食べているし、練乳を飲むためにコーヒーを飲んでいる。」
その娘である私は牛乳を飲むためにコーンフレークを食べる。
でもカレーとご飯の関係で考えてみると、コーンフレークと牛乳ってどっちがどっちに当てはまるのかわからなくない?
↑卵が先かニワトリが先か議論の、牛乳対コーンフレークが終焉を迎えた歴史的瞬間。
牛乳ドーナツには牛乳。当たり前のこと。
シントーボーというベトナムのアボカドと練乳のもったりスムージーにつきましては「信徒坊」みたいで響きがやたら敬虔深いのでゼロカロリーです。
ここも美味しい!
マンゴーともち米に練乳をかけるなんてことが許されてしまう、行きタイ...
「マーガリンはゴキブリさえも食べない」説を頑なに信奉したいのは、単にその文脈で語られる比較対象のバターの味の方が好きだから。
化学式とか体に悪いってちょっとよくわからないし。
讃岐うどんにカルピスバターをかけたとき、キヨカからマルカに改名しようと思ったほど(おいしかった)。
明太バターご飯は完全食品。
明太バターフランスは平和外交政策。
キムチチーズとキムチマヨのどちらかを選ぶことなんて、私にはできない。
「甘いものか塩辛いもの、一生どっちか食べられないとしたらどっち?」より、「牛乳か水、一生どっちかしか飲めないとしたらどっち?」の方が答えられない。
カッテージチーズ、リコッタチーズ、マスカルポーネ
ありのままで美味しいのに、全部小麦粉に入れられて焼かれたり乗せられたりするのもいかがなものか。(特にパンケーキ)
その点、ティラミスにおけるマスカルポーネの主役感よ。
チーズケーキはすごく好きだ...
チーズをデザートにしようとしたの、牛乳をチーズにしたのの次にすごい。
(チーズを主役に据えるデザートにおいてのみの話、牛乳はほとんどのお菓子に入っているので)(厳しい)
昔、バレンタインで失敗したレアチーズケーキには、粒化したゼラチンとオレオが沈殿していた。
冷やして固まる性質もいい。
アイスだったら雪見だいふくもいいみたいに乳成分が中に入って出てくるのを待つか、アイスまんじゅうみたいに中身をすっかり覆い隠していてもいい。
バニラ味じゃなくてミルク味が好きなんだ。この違いは大きい。
セブン・イレブンのみかん牛乳寒天はどうかしている。
容器だけで家が建てられるくらい食べた。
チーズとくるみの組み合わせも好きです。
<お家のレシピ>
・チーズ揚げ春巻き
カマンベール(1/8×2)・梅チューブ(チーズと同じ長さ分)・大葉(2枚)を巻いて揚げる。
あとで半分に切れるよう具の位置を上下に一つずつになるように配置する。
春巻きの皮は乾きやすいので、揚げる前に巻いたそばから濡れたキッチンペーパーなどを被せておく。
揚げたら斜めに切ると断面がきれいで、サイズも大きく見える。
・いもグラタン
薄切りにしてレンチンしたイモと生クリームを敷き詰め、上に冷凍パイシートを乗せてオーブントースターで焼く。
味は塩コショウで整える。
・"コルヌコピア"
ギリシア神話に出てくる豊穣の角みたいな、パイナップルの中にいろんなチーズが入っているやつ。(ギリシア神話とは一切関係なく私が勝手に命名)
パイナップルの皮を容器として使う。
ハム・クリームチーズ・ベルキューブなどを細かく切って混ぜ合わせ、クラッカーと共に。
関連メディア
この前チーズ専門店にいったらゴルゴンゾーラとマスカルポーネが交互に層になっている天才の商品があったので買ってしまいました。たぶん会うことがないイタリアのどこかにいる天才に思いを馳せる pic.twitter.com/R126Ykq2PO
— yucchosan (@yucchosan) 2020年3月28日
おまけ画像ギャラリー(Google Photoでチーズと検索したら出てきたもの)
量があまりにも多く、しかも似通っていて笑ってしまった、フリー画像かと思った。
2013年からこんな感じである。
さりげなく紛れていた湯葉、猛者だな...
オランダはゴーダチーズなどが有名だが、結構香りが強く毎日食べるものではない。
お土産にするにしても結構ひとかたまりが大きく、一人の人がここまで食べ切れることは少ないだろうと思う。
日本にいた時はスペインバルが流行っていたので、ハモンセラーノとヤギのチーズの組み合わせが主流だった記憶がある。
言うまでもないのがシメとしてのリゾットも、いいですよね、あえてのパスタやピザではなく!
<参考文献>
詩的な表現が多い素敵な文が多いので(一つは詩集だし)、一部を読んだら全部読みたくなるような引用を置いておきます。
『味覚の生理学』ブリア・サヴァラン 岩波新書
チーズのないデザートは片目の美女である。
前は新訳版を紹介したので、今回は岩波文庫の方を。
ブリア・サヴァラン | チーズの名称 | チーズ辞典 | チーズクラブ | 雪印メグミルク株式会社
この人にちなんで名付けられたチーズもあるくらい。
『BUTTER』 柚木麻子 新潮社
誰かを欲情させるのは、すごく楽しい。それが男であれ、女であれ。
バターがとろけるように相手の粘膜が光り、甘やかな飢えが可視化される。自分の力を駆使して誰かを熱狂させるのは、悪いこと、卑劣なこと、汚いことだとどこかで思い込んでいた。誰にそんな風に思わされたんだっけ————。(p. 62)
多分前にも紹介しましたが、もう三年前になるのか。改めて読み返してみるとまた違う発見がありますね。木嶋佳苗さんの事件を元にしたと言われています。「嫌いなものはフェミニストとマーガリン」だって...!
自分の経験にないこと、自分の趣味に合わないことがおこなわれていると知ると、まるで自分が否定されたかのように感じるのだろうか。
...「ねえねえ、ヨーグルトに塩を入れるなんておかしいですよねえ。同じ日本人として許せませんよねえ。」などと、少なくとも私に同情を求めないでください。わたしはヨーグルトに何を入れたっていいと思っているのだから。それに、「同じ日本人として」というのが、とても苦手なのだから。(p.56)「ふーんという精神」
これも既出だな、多分。
最近2017年あたりに読んだものを見返す機会が多く、そういうことなのかもね。
「人間は料理をする」マイケル・ポーラン NTT出版
「水しか飲まないものが書く詩は、人を長く楽しませることも読み継がれることもない」————ホラティウス
スクショを撮って(紙のページの写真のことだけど)、上下巻どっちからか忘れちゃった。
でもどっちも読むべきだな。
多分発酵の章に載っていて、ホラティウスの意味するところも酒なんだろうけど、ただいま牛乳が追加されました。
『食卓一期一会』長田弘 ハルキ文庫
「朝食にオムレツを」
ピーマンを小さく角切りにした。
トマトも小さく角切りにした。
マッシュルームを薄切りにした。
チーズも小さくコロコロ切った。
ボウルに四コ、卵を割り入れた。
泡だてないように掻きほぐした。
ピーマンとトマトとマッシュルームとチーズと
生クリームを塩と胡椒をくわえた。
厚手のフライパンに油を注いだ。
熱して十分になじんでから油をあけた。
それから、バターを落として熱しておいて
掻き混ぜた卵液を一どに流し込んだ。
中火で手早く掻き混ぜた。
六分目くらいに火が通ったら返すのだ。
そのとき、きみは間違いに気がついた。
きみは二人分のオムレツを作ってしまったのだ。
別れたことは正しいと今でも信じている。
ずいぶん考えたすえにそうしたのだ。
だが今朝は、このオムレツを一人で食べねばならない。
正しいということはとてもさびしいことだった。
何も、いうことね〜〜〜!
それでは、また!