下校時刻のヴィレヴァンゾンビ
はじめに
小学校
インターネットで出会うことがない時代、誰かの影響なしには本さえも見つからないので、当時読んでいた作品には誰々とのエピソードが多い。
電子書籍も好きですけど、あの漫画を貸して読みあったり、誰かの部屋に置いてある感じは神なんだよなぁ〜
『マンイーター』高橋葉介
最初っから飛ばすなぁ〜
マンをイートしていますよ、表紙が。
でもこれはっきり覚えていて、二回店頭で読んで、二回目に友達連れてきて立ち読み禁止用のビニールをこっそり剥がして見せたことまで覚えてる。
内容の印象が強烈すぎて、本をジャケ買いする私が表紙に関連する情報(作者名・作品名も含む)を一切覚えておらず、最近になって思い出して、インターネットで探すのに苦労しました。
流石に小学生でこれを家に置いておくわけにもいかないというのが子ども心でも理解できたので買うに買えず、一回目の立ち読み(ビニールカバーがなぜか最初はかけられてなかった)で二時間ほどで内容を丸暗記しました。
いや、でももし自分が親だったら、これが家に置いてあるより丸暗記している方が怖いな...
誤解を招かぬよう言及しておきますと、同時並行で『ちゃお』『なかよし』も追いかけていたし、ナルトもワンピースもリアルタイムで見ていましたし、友達も一応いました。
『ハトの嫁さん』ハグキ
これは兄の影響です。
家のトイレに置いてありました。
Happy Tree Friendsみたいな、理不尽でファンシーなグロにハマらない中学生がいないはずもなく、私もそのうちの一人でした。
エドワード・ゴーリーの絵本とか、自殺うさぎとか、ねこぢるとか、そういうことなんでしょうね。
子どもに読ませたい本ではなく、読むなって言われてるのに、いや言われるから子どもが読む本。
ブックデザインとしては表紙が透かし巣材でなんかシャレオツなのもムカつく笑
『蟲師』漆原友紀
これも兄の影響で「キヨカはこういうの好きそうだから」って貸してくれた思い出。
もののけ姫とかナウシカを濃縮還元したらこういうことになる気がするし、そう簡単にすべきではないというかね。
怖いからね。
今は文化人類学的視点で読むのかな...作品のobserverではなく、participantになれるのは子どもの強みですね。
読んでいてあまり食欲は湧かないですけど、山系なので一応言及しておくと、私はヌルヌルしてるじゅん菜と山菜とかも大好きで、「わっかんね〜!うま!」と言いながらよく食べます。
『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』西義之
通称ムヒョロジですね!
これはヴィレヴァンで見つけたわけではなく、脳内店舗の方ですね。
\\\在庫入荷しました〜///
公民館のジャンプ本誌で読んでいた記憶があります。
記憶の中にある紙が白黒じゃなくてジャンプの色紙カラーなのと、あの紙の独特の匂いがセットになっているので。
魔法で封じる系でいえば結界師やブリーチよりも私は断然ムヒョロジなんだよな〜
絵のタッチがあくまで漫画っぽいというのと(デフォルメ等)、敵の各オバケのキャラ立ちが群を抜いていた。
めちゃくちゃ記憶に残っているのが最初普通だった女の子が巨大オバケ化して泣きながら成仏する回みたいな...
今アニメ二期とかやっているみたいで、でも漫画の連載は10年前に終わっていて、なんだかわけがわからない!
中学校
物心がついて背伸びがしたい動機が垣間見えますね。
『MW(ムウ)』手塚治虫
『ライアー・ゲーム』甲斐谷忍
『バガボンド』井上雄彦
これも兄の影響。
床屋はスラムダンクで鰻屋はゴルゴ13と本棚の相場が決まっていて、どっちも毎回一巻から読んでいて永久に進まないんですよね、
お店行った時しか読めないし、そう頻繁に行くところでもないので毎回内容忘れてるっていうか。
小学生にとって「完結している漫画の巻数」ってこち亀ほどではなくても天文学的数字に見えるもので、ズラリと並んでいるだけで「ちゃんと読まなきゃ」となってしまうし、でもそんなことは色々制約があって不可能。
バガボンドは割とリアルタイムで追いかけられて嬉しかった。
修学旅行の京都で寺社仏閣を素通りして抹茶アイス食べながら武蔵と小次郎ゆかりの場所で騒いでいました。
『砂時計』芦原妃名子
これ、けっこう少女漫画界の異端児だと思っているの、私だけじゃないはず〜!
引っかかるところが今でもたくさんある。
私が今もしヴィレヴァンの店員だったら、敢えてジビエ系漫画として『ゴールデンカムイ』の隣に置いちゃって、お客さんが戸惑う様子を楽しむかな...
そういうことがヴィレヴァンだとできるのかな。
こちらは舞台は現代の島根ですけど、狩りや食事もしっかり描かれているし。
それよりもこの漫画を異端児たらしめるのは、今言葉で表現するのならば、「描かない方が物語進行としてはスムーズに行くシーン」を台詞なしで見開きで描くことで解釈の幅を広げるというか、心理描写の足し引きが絶妙だったところかな....
ミレイの「オフィーリア」みたいな、嘘なのかほんとなのかわかりにくいシーンとかがあった気がする。
高校
学校帰りの立ち読みコースですね。
この頃から短編が好きだったのがわかるというか、それも立ち読みの時間的都合などの環境的要因もあったのかなって色々考えを巡らせてしまいます。
『ケーキを買いに』河内遥
大学
大人買いとかし始める頃ですね、相変わらず購入先はブックオフですけども。
『ウツボラ』中村明日美子
出会いとしては高校の時点にあったけど、高田馬場のブックオフで立ち読みしてから買ったので大学に入るかな。元BL作家のガッツリBL真っ盛りではなく、一般大衆向けに書いてくださっている作品が好きです。
最近大掃除してもう一回読み返したけどわからない部分が多すぎて、買った当時「わからないからわかったことになっていた」のか、「わかることが多くなってきてわからない部分が増えた」のか、魅力は尽きません。
『ぼくの小規模な生活』福光しげゆき
これは圧倒的にヴィレヴァンにて。一時期お店でフェアみたいなのもやっていて、ショッピングバッグに例の妻のイラストが載っていたり。
やたら細かいコマ割りと「.....」の多い文体、本人から直接聞かされたら主人公(作者)がよく言う「ハァ...」以外の感想が出てこない、日常を突き詰めた内容は漫画でしか描けない部分があるのかなと。書いてて思ったけど、フィクションでもノンフィクションでも日常系全然好きじゃないので、この作品を日常系とカテゴライズするかは別として、日常系は全然好きじゃないです。大事なことなので二回言いました。
シーシャを吸いながら読むなどしました。
ただの大学生じゃ〜ん笑
『ディザインズ』五十嵐大介
『リトル・フォレスト』はやたらヴィレヴァンで目に入っていて、絵が漫画なのに水彩画すぎて全然読む気になれなかった中高を経てからの、ケモナー垂涎の作品、ありがとうございます!!!!!
これの前哨戦にあたる『ウムヴェルト』(環世界)という作品と概念も好きで、以前も紹介したかも〜。ケモナーポイントとしては、アンとベイブ(上の表紙の画像右)が猫耳とかではなく、体がヒョウで頭がヒトという、人面ヒョウという感じで描かれているのが猫耳トレンドになびいてなくて、あくまで機能性重視で好き...。
アメコミの超能力系戦隊モノのなかではX-MEN派が好きになりそう。
一般人と能力者の距離が近めというかね。
『テケテケ・ランデブー』ジョージ朝倉
『平凡ポンチ』『ハートを打ちのめせ』『溺れるナイフ』の主人公たちと中高で一緒に成長し、大学がテーマでもこのジョージ朝倉節って通用するんだ、という。
『夫婦サファリ』は結婚!?みたいなね。
全部それぞれ好きだけど、個人的な代表作としては、たよ子嬢とセンセイは堂々一位なんだよな〜〜〜これも少し異なるケモナーというか(肉食系女子も守備範囲です)、人間関係ガラパゴス諸島で、都会の弱肉強食の概念からぶっ放されているキャラたちにびっくらこかされます。
『イノサン』坂本眞一
マ、マリー様抱いて〜!
「絵とストーリー展開が上手な漫画」と「歴史系漫画」の両ジャンルの遥か高みを突き抜けてしまったので審査基準を作り直さないと、とお偉方が躍起になっているのが目に見えますか...私には見えます...
Rouge編では特に現代世界へ繋がるところが多く、最高に好きなのはアントワネットがママ友会やツイッターをやっているところ。
本当の時代考証ってこういうことだよなと。
司馬遼太郎!!!!
5時に夢中!の中瀬親方のエンタメ道場で紹介されていたのがきっかけ!
『大奥』よしながふみ
将軍の数が多すぎて新巻が出るたびに毎回一巻から読み直すことにしているのですが、 全然毎回楽しい。
全体の流れとしては〇〇代目が誰々で、とかで追えるようになっているのだろうけれども、作品全体を構成するのは単体で十分キャラが強い将軍たちだけでなく、キャラが濃かろうが薄かろうが当時必死に生きた大奥の内外の人たちというか、全員人間だな〜、となる。
人間を人間扱いしている漫画ってそんなにない、特に日常系の対極にあるジャンルでは。
今のところ一番好きなのは江島生島事件のところらへん。
悔しくて泣きました。
あとはやっぱり言葉遣いだったり、絶妙な大奥用語といいますか、そういうのはもうたまらんですね...
スマホ黎明期の御三家(ツイッター→LINEスタンプ)
今やツイッターのみならずあらゆる媒体に登場するこの方達はやはり言及しておかねばなるまい〜。
もはや「漫画家」と「ツイッター発の漫画家」はジャンルを分かつべきだと思っているのですが、どうなんだろ。
ツイッターで知ってLINEスタンプを買ったという、見る専から使う側に移行できるのも、作家とファンとの関係が多様化していていいな〜と思います。
しりもと
— しりもと (@SHIRIMOTO) June 8, 2019
人生ってこういうことなんだよな〜
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既読がドンブラコと流れているの、千利休的なセンスを感じます。(?)
ニャロメロン
ニャロメロン先生のこのシリーズは2ちゃんねるでも議論が度々交わされており、漫画界でもその表現技法により革命を起こし続けているともっぱらの噂です。これは一例ですが、後ろを向いているキャラの顔のパーツだけが抜き出されていたり(無表情っちゃ無表情で描かなくてもいいはずなのに)、四コマのタイトルが最初に来るのではなく最後にオチを言語化しているのも独特...今作品を見返して崖から落ちる表現が割と多用されていて、そんなことってある!?と思うけどあるんですね。
なう
描写としての血に飢えているがただ好奇心に任せて人が死ぬのは見たくなくて、だからと言って死に方や生き方についておおっぴらに説教もされたくない、という現在の私のわがままを大幅にクリアしている作品たちです...
『ゴールデンカムイ』野田サトル
キロちゃんとラッコ鍋食べたいッ!
いや〜〜〜〜もうこれはこれは。
七巻のヒグマ退治と八巻の江渡貝くん、十八巻のソフィアの過去が好きかな〜。
こちらは原作を知る前にネットで流れていた同人誌から入って読み始めました、という腐ルートですけれども、ファンの方々の推しへの熱意もなんだか一味違うというか、それで目に入ったのかも。
人がすごく死ぬし殺しあう漫画なんですけれど、登場人物で生きるために生きている人がいないところが好きだな〜!
ザ・日常系の対極ですね。
『ドロヘドロ』 林田球
爬虫類は条件抜きで好きなので、カイマンの皮膚感の時点で最高なんですけど、ニカイドウと鳥太が好きだな、それが....!ドロヘドロ!
画風としては線は多いけれど無駄な線なんて一本もなくて、エッチングっぽいかすり線な感じもグッド...ファッションも独特で、スニーカーが堂々とナイキだったり、作業着とプロテクターの絶妙なバランス加減もすごく好き。
コスプレしたくなる気持ちがわかりかけます。
ティム・バートンの『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のナイトメア版ですね。
『Cocoon』今日マチ子
小説家でいうと桐野夏生とか桜庭一樹な感じで、前者だと『リアルワールド』、後者だと『じごくゆきっ』とかを読んでいる者です(自己紹介)。
もっとも流血沙汰から遠いとされている社会要員の女子高生たちを生々しく描くというか、要するに、JKだタピオカだと持て囃されつつもされている思春期成長期真っ盛りの女子だって生死や個人単位での戦争と常に隣り合わせなんだぜ、なめてもらっちゃ困る...とか言いつつすみません、まだ読んでなくてこれ、でも沖縄のひめゆり隊のことをこちらの先生が描くってことはそういうことだと思っています。
おまけ
時間の都合上と、まだリアルタイムで追いかけているものとして整理がついていないので、以下ここ1~2年以内でインターネット経由で出会った作品たちを紹介するに留めさせていただきます。
トーチweb
『アマゾネス・キス』意志強ナツ子
『太郎は水になりたかった』大橋裕之
『ラ・マン』 高浜寛
『アイスバーン』西村ツチカ
『夢中さ、君に』和山ヤマ
変な女が変な男と出会う話 (1/6) pic.twitter.com/AKAXPsIpk3— ワヤマ (@wymaaa) August 10, 2019
『泥の女通信』にくまんこ
『ギャルと恐竜』トミムラコタ
今週発売のヤンマガに #ギャルと恐竜 45話載ってます!恐竜くん、あやとりするの巻! pic.twitter.com/p0eNymRNdO— トミムラコタ (@cota0572) September 21, 2019
『裸一貫!つづ井さん』
『夏がとまらない』藤岡拓太郎
ネルノダイスキ
オモコロ